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免疫機能の変動

車いすマラソン競技における脊髄損傷対麻痺者の免疫機能の変動
吉備高原医療リハビリテーションセンター 古澤一成


1.はじめに
近年、運動がヒトの免疫機能に影響を与えることが判明しています。免疫とはウイルスや細菌の感染、腫瘍の発生などから身を守ること、すなわち非自己に対する生体防御機構のことです。免疫系の細胞の中で、急性あるいは慢性の運動で最もその影響を受けやすいのが、リンパ球の一つであるNatural Killer(以下NK)細胞とされており、運動が免疫系へ及ぼす影響を調査する際の指標として頻回に用いられます。一般的に生体にとって適度な運動を行えばNK細胞の機能(NK細胞活性)は上昇し運動の終了によって徐々に運動前の値(前値)に戻ります。一方、過度な運動では、同様にその活性は上昇しますが運動終了後に前値以下に低下し、その後再び前値に回復します。前値以下に免疫機能が低下した時期は感染その他に対する防御機能が劣るとされています。
障害のある方にスポーツを推奨する際、安全性の確保という意味で、行われる運動が選手の免疫機能へどのような影響を与えるかを把握しておく必要があります。今回は、身障者スポーツのなかでポピュラーではありますが、最も過酷なスポーツとも言われています車いすマラソン競技における免疫機能の変動をNK細胞を指標として調査しました。




2.対象と方法
対象は、第15回大分国際車いすマラソン、フルマラソン部門に参加した脊髄損傷対麻痺者9例と第16回大分国際車いすマラソン、ハーフマラソン部門に参加した脊髄損傷対麻痺者で7例です。フルマラソン競技参加者は、車いすマラソンに数年の経験を有したトップアスリートで、ハーフマラソン競技参加者は、車いすマラソン競技歴が数カ月以内のレクリエーショナルアスリート(recreational athlete)です。
NK細胞活性等を測定するために、競技前日の健康チェック時、競技終了直後、競技の翌日に採血をさせていただきました。


3.結果
NK細胞の活性がどのように変化したかを図に示します。フルマラソン競技参加者は、競技前日に比較して競技直後に有意に低下しました。しかし、その抑制効果は一時的で、翌日には完全に前値に回復しています(上段)。一方、ハーフマラソン競技参加者では、競技直後のNK細胞活性は競技前の値より上昇し、それらは翌日まで持続しました(下段)。競技に参加しなかったコントロール群では実験経過を通じて有意な変化はありませんでした。


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